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2005.11.10

『山と私の対話』 志水哲也

yamatowatashinotaiwa 「ここに現れた『ソロクライマー』と『アーティスト』は、・・・地位や名誉、業績やお金ではない、ほんとうの何かを求め、ゆえに、彷徨える求道者たちである。」

かく言うこの本の編者、志水哲也氏自身が「求道者」そのものであると私には思われる。かつて、雑誌『山と溪谷』を通じて、氏の山岳写真にふれるにつけ、感嘆し敬意をもってそれらの「山の景観」を眺めた。なぜなら、その作品がみな、当然のことながら、そこに自ら足を運ぶことなくしては決してフィルムには収めることの出来ないアングルであったからだ。

さて、この本にとられたソロクライマー6名のなかに田中幹也がいる。

あの山野井泰史と同い年で、ここ10年ぐらいは、カナダに主たる活動の場を移し「カナディアン・ロッキー冬季単独縦走」などの偉業を成し遂げている。

その田中幹也が、雑感として述べていることばには、その厳しい「ソロ」としての経験を踏まえたものゆえの説得力があって、多くの示唆に富んでいる。

●自信

 自信や誇りを持ってしまったら、それ以上の進歩がなくなる。

●好きなこと

 好きなことはたいてい「もしかしたら本当は向かないのでは」という壁にぶつかる。好きでなければ、その段階に辿りつく前にやめてしまう。

●大変さ

 越える「壁の高さ」よりも、超える「人の実力」によって、大変さは変わる。

●進歩

 成功して余韻にしがみつくと、そこで進歩は止まる。

●将来

 将来に対する不安がなくなったら、今現在において努力しなくなる。

●緻密な準備

 緻密に計算してゆくと、たいていのことはできなくなる。

●思いこみ

 人間死ぬ気になってやればたいていのことはできる、と言っている人は、やれば誰でもできる程度のやさしいことしかやっていない。

●努力

 失敗した人ほど、努力の足跡を強調する。成功した人ほど、努力の足跡を消す。

●教える

 実力のない人ほど、教えたがる。

 教わらないと動き出せない人は、教えても結局できない。教え方が悪い、と相手に責任転嫁する人は、結局なにをやってもできない。

●実行力

 今ここでやらない人は、永久にやらない。

(付記)

「最も長く生きた人とは、最も多く呼吸をした人ではなく、最も生を感じた人である。」

              『エミール』 ルソー

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コメント

あああ。。。耳が痛い!
というか、目からウロコです。

でも何度も読み返してみると
厳しいことをおっしゃっているようでいて
読んでいると 不思議と 勇気 が湧いてくるような
素敵な言葉ばかりですね。

経験って 人をどんどん変身させる魔法のようなものだと
思います。

ところで moaiさんはスポーツの秋 読書の秋 食欲の秋(笑)
。。。。と 秋を満喫されていますね!
時間の使い方が お上手なんだろうな。
教えていただきたい~~!
なんていったら 田中幹也さんに怒られますかね?(^_^.)

投稿: りんごママ | 2005.11.11 00:03

りんごママ様

田中幹也さん風に言うなら・・・
「時間は使うものではなく、生み出すものである。」
なんてね。

投稿: moai | 2005.11.11 20:12

本当に耳が痛い言葉ばかりです・・・・

シーズンオフだなんて寝ぼけた事を言ってないで頑張らせていただきます。

投稿: roadman1971 | 2005.11.12 13:13

roadman1971様

やはり、亜流ならぬ一流の方々の言葉というものは、含蓄がありますよね。

投稿: moai | 2005.11.12 23:17

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