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2007.06.11

「雨」もしたたるいい「岳男」 、誕生秘話

H190610_033 昨日、雨中の雲取山・石尾根でのワンショットです。

16歳の高校一年生Y君にとって、本格的な初めての山登りは、その前日から厳しい雨の洗礼を受けることになってしまいました。

 

「ほとんど、眠れませんでした」

初めての河原でのキャンプ生活。寝袋に体を流し込むことも、背中にあたる石の痛みも、傍らで絶え間なく流れゆく瀬音も。そして、時折激しくテントの屋根を打つ雨音のおまけまで加われば、彼のこの言葉には同情するしかありません。

 

そして・・・

 

寝不足の体に鞭打って一番バスに乗り込み、雨具に身を包んで登山口をあとにしたのは7時まえ。

そのとき、よもや12時間以上も自分の足だけをたよりに歩き続けることになろうとは想像すらできなかったにちがいありません。

H190610_025

先輩たちに、なんとかついていくことができていた頂上直下のころ、その自分の足元から果てしもなくつづく尾根の長大さもまた、彼の想像をはるかに超えていたことでしょう。

 

そうして、やむなく遅れをとってからも、不平不満の一言も発することなく、辛い苦しいの弱音も一切口にすることなく、足を引きずりながらゆっくりと急斜面を下りていったのでした。

いや、何かを口にすることすらできないほど、追い込まれていたといった方が適切かもしれません。

終盤、ようやく20時近くになって舗装路に出てからも、大きく横に縦にヘッドライトの灯りが揺れていたのがなによりの証拠でした。体をまっすぐに保つことすら難しくあったのでしょう。

 

しかし、ひと足早く駅に着いて今か今かとその到着を待っていた先輩たちと無事合流できたとき、彼が放った一言は実に印象的なものでした。

 

「遅れてしまって、申し訳ありませんでした・・・待たせてしまって申し訳ありませんでした・・・」

 

ここにまた、若いひとりの立派な岳人が誕生した瞬間でした。

 

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コメント

一枚目の写真を見てピーンときました。石尾根最後の急な下りでしょう。
晴れていて元気だと、あの急勾配のざらざらしたところを、真っ直ぐに走って下るやつがいるんですよ、、、。
2枚とも雲取りの感じが出ているなー。
16歳というと、私も人について初めて山に登った頃。彼の頭に、しっかり記憶に残ったことでしょう!

投稿: shimo | 2007.06.12 09:22

>shimo様

それにしても、石尾根は何度辿ってもながいですねえ。

投稿: moai | 2007.06.12 22:21

未知の苦難の場面に立ち至っても、不平不満・辛い苦しいの一言も出さずに頑張り通した「新人一年生部員」。体をまっすぐに保つ事さえ叶わぬ状態ながら、先輩たちへの謝辞を忘れなかったとは『岳人』の素質あり。
落ち着いたマンツーマン指導が実りましたね。
悪天候のために「もえぎの湯」が「あえぎの○」に(笑)
これも次の機会のお楽しみ・・・。
熱血moaiさんと前途洋々若き岳人達に幸あれ!!

投稿: 幸せコスモス | 2007.06.12 22:30

>幸せコスモス様

彼から「山はゆっくり噛み締めるように歩みを進めるものである」とじっくり教えられました。(笑)

投稿: moai | 2007.06.12 22:42

大人でもその「一言」が言えない人も多い中で、
素敵な高校生ですね♪

我が息子の10年後かぁ。。。
どうなっていることやら(笑)

悪天候の中 本当にお疲れ様でした♪
でも Y君の頑張りと印象的な一言は
moaiさんにとって嬉しいプレゼントになりましたね(^o^)

投稿: りんごママ | 2007.06.13 00:58

>りんごママ様

>我が息子の10年後かぁ。。。
どうなっていることやら

簡単ですよ。息子さんに十年後、りっぱな「岳人」になってもらえればいいのでは・・・(笑)

投稿: moai | 2007.06.13 21:35

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